こんにちは、ぼむちんです。今日はダイエット記録を更新している私が、本屋さんで目にした瞬間に気になった小説の感想です。きっとみなさんのダイエットを楽しく気楽に続けるお手伝いをしてくれると思います。
あらすじ
ダイエットは運動と食事制限だけではない。大庭小萬里はマスコミには一切登場しない謎の女性だが、彼女の個別指導を受ければ誰もが痩せられるという。どうやら、身体だけでなく「心のゼイ肉」を落とすことも大事なようだ・・・・・・。
垣谷美雨「あなたのゼイ肉、落とします」双葉文庫
ダイエットをきっかけに心まで軽くしてくれる、そんな小説です。大庭小萬里は48歳、一見ぽっちゃりに見えるけど実は筋肉隆々のたくましいオバチャン主人公。そんな彼女が男女4人の悩みにアプローチして見た目だけでなく心のダイエットを成功させます。
感想
依頼人① 49歳女性
元々はずっとスレンダーで周りから美人と言われてきた女性が1話目の依頼人。「女性」としての魅力を常に意識して生きてきた彼女が、大庭小萬里によって「人間」として生きることの大切さに気づかされ、より良い人生を模索していく話です。この話は、太っているとか痩せているとか関係なく、仕事も家事も育児も頑張っている、頑張ってきたお母さん達に特におすすめ。
「ちょっとくらい手抜きもいいじゃん」と思えるはずです。ストーリー自体も面白いのですが、ダイエットに関する描写は「あ〜分かる!」というポイントが多くて読んでいて楽しいです。
シュークリームを買うとなると、厚切りのポテトチップスも買わねばならない。だって甘いものを食べたあとは、必ずしょっぱいものが食べたくなるし、いい歳をした女がシュークリームを一つだけ買うなんてカッコ悪いもの。
垣谷美雨「あなたのゼイ肉、落とします」双葉文庫
私もいつもこんな感じです。こうやって理由づけしては買うこと、女性の皆さんなら誰しも経験があるんじゃないでしょうか。
私が考えるこの章でのダイエットの秘訣はこちら。
見た目が変わってしまったのなら、ありのままの自分を受け入れて自分の生き方を見直してみる。頑張りすぎない。
太って美人と言われなくなったからと言って不貞腐れていては余計にブスになってしまうよね、というお話でした。
依頼人② 18歳女の子
スレンダーな家族に囲まれて育つ元華族の女の子のお話。元華族と言っても実は家計は火の車。お菓子作りが趣味で、いつか自分のお店を持ちたいという夢を持っていますが、プライドの高い父にお見合いで金持ちと結婚することこそが幸せだと思う父の手前なかなか言い出せずにいます。この章は夢に向かって頑張る方におすすめ。厳しい状況で自分の道を切り拓いていく彼女にきっと勇気付けられるはず。
それと、この章に出てくるかぼちゃパイの描写がとっても美味しそうで、それも私が好きなポイント。あ〜食べたくなってきた。近いうちに作ろう。
ふわふわとした可愛い依頼人に癒されながらお話が進んでいきますのが、そこで大庭小萬里によってピリッとスパイスが入ってメリハリがついたように感じました。
この章でのダイエットの秘訣はこちら。
食べること以外に熱中できるものを見つける。
可愛いオチつきで、幸せな気分になれるお話でした。
依頼人③ 32歳男性
事故で向こう1年半の記憶を失くした一流企業のエリートサラリーマンのお話。この章はダイエットものというより、少しハラハラするミステリー要素を含んでいました。忙しくて自分のことを考える余裕のない方におすすめ。
形はどうであれ、この章を読んでいる間は自分を省みることができたような気がします。一つ前の「18歳女性、80kg」のところでは大庭小萬里が引き締めスパイスの役をしていると記載しましたが、こっちでは依頼人の家族関係を円滑に進めるオイルのような役割をしているなと感じました。
この章でのダイエットの秘訣はこちら。
自分のことを省みて、本当に大切なものが何かを考えてみる。
依頼人の男性には共感できかねる部分が多くありましたが、周りの人に感謝したくなるようなお話でした。
依頼人④ 10歳男の子
お母さんとふたりで暮らしているいじめられっ子のお話。この章は終始男の子のキャラが可愛くて、隣の家に住む中学生のお姉さんも可愛くてほっこりさせられます。忙しくて不規則な生活を送りがちな方におすすめ。
「自分で作って食べること」の楽しさや大切さを教えてくれる気がします。ここでの大庭小萬里はまるでお母さん。関わる相手によって立場がくるくる変わります。
この章のダイエットの秘訣はこちら。
簡単でも良いから、自分と相手を思いやる食事をする。
家族の温かさを感じるお話でした。
まとめ
ダイエット記録と称したブログを書いているからとなんとなく手に取った小説でしたが、本当に心のゼイ肉が落ちたような気がしました。何と言っても魅力的なのは主人公・大庭小萬里の人柄です。ものの言い方はいつでも結構きついし、態度を変えているわけではないのに、ある時はお母さん、ある時は先生、ある時は友達のように、目まぐるしく立場が変わったように感じられる所にいつの間にか私も惹かれていました。
また、ダイエットともうひとつ、この本のキーワードは「家族」だったと思います。家族にまつわるあれこれをひとつずつ昇華していく、そんなところがとても気持ちの良い小説でした。
私もダイエットよりももっと内面を磨く努力をします・・・(笑)
おわり。